長引くコロナ禍の影響で、ライブを売り物にする音楽や演劇などのエンターテインメント業界が危機的状況だ。ファンもライブ会場や劇場に足を運ぶ機会が制限されるなど、不自由な日々を送っている。そうしたなか、オンラインでのライブ配信やリモート交流など、新たな場面も生まれた。フリーライターの吉田みく氏が、コロナ禍でアイドルの「推し活」に励む2人の男女に話を聞いた。
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新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くのアーティストたちの活動に制限が生じている。感染対策を徹底した上でライブ等を行っているアーティストもいるが、観客数の制限などもあり、コロナ前のような盛り上がりは難しい状態だ。先日愛知県で行われた音楽フェスでは、マスク未着用、酒類の提供、人数規制を大幅に上回ったことなどにより、批判の声が飛び交う結果となってしまった。
そんな中で注目を集めているのは、アーティストによるオンライン活動。オンラインライブやイベントなど、さまざまなものが開催されている。今回、コロナ禍で活動を頑張るアーティストを応援しているという人たちから話を聞くことが出来た。
都内在住の会社員、藤田寛之さん(仮名、45歳)は、オンラインチェキ会を通じて地下アイドルを応援していることを話してくれた。
「ライブ参戦が大好きで、コロナ前は毎日のようにライブハウスへ足を運んでいました。今は感染対策を徹底した上でライブは開催されているようですが、同居する両親が高齢であるため、私は控えています。そんな時に知ったのが、オンラインチェキ会でした」(藤田さん)
藤田さんが応援するアイドルたちが行うオンラインチェキ会とは、事前に希望枚数分の金額を払い、後日行われるオンライン配信イベント中にチェキの撮影を行うというもの。そこで撮影されたチェキは後日郵送してもらえる。その際、名前を読んでもらえたり、希望するポーズで撮影してくれるそうだ。ライブ会場では1枚1000円だったチェキは、オンラインの場合、1500円(送料込み)とのこと。今までよりも割高ではあるが、藤田さんは「こんな時は助け合いですからね」と、話していた。
「物理的な距離は遠いですが、名前を呼んでもらえることで近くに感じます。かわいくデコレーションされたチェキが自宅に到着した瞬間の喜びは、自粛疲れが吹き飛ぶほどです。大変なご時世だからこそ、自分ができる形で応援を続けていきたいと思います」