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【日本株週間見通し】3万円回復の日経平均、今週も堅調?

 上昇相場の初期は、グローバルマクロ系のヘッジファンドの買いや、商品投資顧問(CTA)の追随買いなどが主体だったが、足元では長期目線の実需筋も買いを入れてきているとの指摘が聞かれる。今後も押したところでは、こうした実需筋の買いや、これまで逆張りで売り方に回っていた個人投資家による買いが入ってくると思われ、全員参加型の買い相場から総じて底堅い展開が想定される。

 一方、足元やや軟調な米株市場については、新型コロナ感染再拡大や高バリュエーションを背景に、米国経済や米国株の見通しを引き下げる専門家が増えてきており、やや気掛かり。債務上限引き上げや財政支出法案を巡る米国の政治不透明要因を背景に短期的な調整も警戒される。

 また、米中の経済指標にも注目。直近、欧州でも高いインフレ率が確認されていることから、欧州中央銀行(ECB)が債券購入のペースを減速させる計画を明らかにするなど、世界的にインフレが懸念されている。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレについて「一時的」とのスタンスを維持しており、米消費者物価指数(CPI)も前回7月は前月比で減速するなど、鈍化の兆しも見られているが、8月分の結果次第では再びインフレへの警戒感が高まりかねない。

 さらに、米国および中国では鉱工業生産や小売売上高が発表される。景気減速懸念が未だくすぶるなか、指標の結果次第では最高値圏にある米株価指数の下押しにつながりかねない。加えて、前回、約10年ぶりの低水準となったミシガン大学消費者信頼感指数が週末に控えており、こちらも米消費者マインドの低下基調が継続しているかどうかを確認するうえで注目される。

 半年以上、日経平均が調整を続けている間に最高値更新を続けていた米国株が、9月特有の季節性要因も意識されるなか、上述したような要因で短期的に調整すると、さすがに足元好調の日本株も一時的に連れ安する場面があるかもしれない。しかし、欧米対比でバリュエーションに割安感が強く、見直し機運が高まり始めたばかりの日本株の調整は限定的になるだろう。

 相場反転の大きなきっかけとなった自民党総裁選については、告示が17日、投開票は29日の予定。ここからは各候補者のメディア露出も増えはじめ、政策への言及なども増えてくる。株高を演出する刺激材料は豊富とみられ、「脱炭素」や「DX」といったテーマ株物色も引き続き旺盛となりそうだ。

 新型コロナ感染動向も、東京都での新規感染者数の前週比減少傾向が継続。1人の感染者が平均して何人に感染させるかを表す実効再生産数は「1」を下回っており、感染ピークアウト感が鮮明になってきていることも後押し材料。9日、政府は東京都などに発令中の緊急事態宣言の9月末までの延長を決定したが、同時に、段階的に行動制限を緩和していく方針を決めた。具体的な内容などが分かってくれば、旅行やサービスなどの経済活動再開銘柄の株価反転へとつながっていきそうだ。

 なお、今週は13日に7-9月期法人企業景気予測調査、8月企業物価指数、米8月財政収支、14日に米8月消費者物価指数、15日に7月機械受注、中国8月鉱工業生産、中国8月小売売上高、米9月ニューヨーク連銀景気指数、米8月鉱工業生産、16日に8月貿易収支、米8月小売売上高、米9月フィラデルフィア連銀景気指数、17日に自民党総裁選告示日、米9月ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されている。

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