どうすればこうした問題を解消できるのか。
「能力のある子は、家庭の経済状況にかかわらず高校や大学に必ず行けるようなシステムを作らない限り、国力だって上がりません。一生懸命に勉強すれば学費を全て出してもらえるというのなら、家庭が貧しくとも必死で勉強する子も出てくるでしょう。そういう子が将来、またコロナのようなパンデミックが起きた時に特効薬を開発する逸材になる可能性もあるのではないでしょうか。
一般家庭でもそうですが、国レベルで考えても教育というのは究極の先行投資です。目先のことにしかお金を使わないことがどんな結果をもたらすのかは、今回のパンデミックで嫌というほど思い知ったはずです。だからこそ将来を見据え、自由に教育を受ける機会を誰にも『平等』に保障するための投資は惜しまないで欲しいと切に願います」
【プロフィール】
池田清彦(いけだ・きよひこ)/生物学者。早稲田大学名誉教授。山梨大学名誉教授。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)などテレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。『自粛バカ リスクゼロ症候群に罹った日本人への処方箋』(宝島社新書)、『平等バカ-原則平等に縛られる日本社会の異常を問う-』(扶桑社新書)など著書多数。