それでも自宅を生前贈与するなら、「住む場所に困らないように」といった理由で子供に贈与する人も多いが、子供への生前贈与には「おしどり贈与」のような非課税措置がなく、結果的に子供が多くの贈与税を納めなければならなくなる。
一方、夫から妻に自宅を贈与しておけば、ほとんどの場合、自宅もその他の財産も非課税になる。複数の不動産があったり、財産が多い場合は、「妻のための特例」を利用して生前贈与させる方が賢いやり方だ。
ただし、妻が持つ財産が多いと、いずれ妻から子供への相続が発生した際の相続税には使える特例が少ないため、先を見越した判断は忘れないように。ファイナンシャルプランナーの明石久美さんが言う。
「いずれにせよ、いま使える制度を一刻も早く使っておくことは重要です。昨年末に発表された税制改正では、贈与税の優遇措置がどんどん減らされる方向に向かうことがわかりました。自宅以外の財産は教育資金や子育て資金などの一括贈与として子供に贈与し、遺言書を残しておくなどの対策を」(明石さん)
大きなもの(自宅)は焦らずに、小さなもの(暦年贈与や教育資金など)からコツコツ準備を進めておきたい。
※女性セブン2020年9月30日・10月7日号