また、米10年国債利回りが7月半ば以来およそ2カ月半ぶりに1.4%台へと上昇してきた一方、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレークイーブン・インフレ率はほぼ横ばいで、市場はFRBのインフレへの対応を評価している様子。長期金利の水準も3月に付けた1.78%と比較すればまだ低く、上昇ペースが緩やかであれば、相場の波乱要因とはならないだろう。
一方、自民党総裁選の投開票が29日に迫ってきているなか、総裁選が混迷となっている。しかし、誰が総裁になるにしても、衆議院議員選挙に向けての党勢拡大を目的に積極的な経済対策が打たれる可能性は高く、こうした期待が相場を下支えしよう。
あえてリスクとして挙げるのあれば、海外投資家には改革色の強い河野太郎氏を好んでいる向きが多いとみられ、仮に河野氏以外の候補に確定した場合の相場反応は気になる。しかし、上述した背景から大きな波乱になるとは考えにくい。むしろ、衆院選の投開票日に向けた株高アノマリーなども意識され、上値を試す展開の方が可能性としては高そうだ。
他方、中国恒大集団の問題をきっかけに中国経済の減速懸念が一層強まっている点には留意したい。中国経済に与える不動産業の影響力は大きく、今後の実体経済への影響を注視する必要があるほか、不動産業へ多額の融資をしている銀行への影響、負の資産効果による個人消費の減退など、懸念要素は多数ある。今週は中国で9月の製造業・非製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表される。前月8月分はともに市場予想を下回ったが、日本では政局流動化をきっかけとした株高局面で特段材料視はされなかった。今回は中国経済への関心が高まっている場面でもあるため、結果と市場反応を注視したい。
物色面では、小売企業の6-8月期決算が始まることから、これら決算を受けた個別株物色が盛んになることが想定される。そのほか、衆院選に向けた株高アノマリーや来月下旬から本格化する製造業の7-9月期決算を意識する形で景気敏感株などを中心に主力株もしっかりとした動きとなりそうだ。
なお、今週は27日に米8月耐久財受注、28日に米7月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米9月消費者信頼感指数、29日に自民党総裁選投開票、30日に8月鉱工業生産、8月住宅着工統計、中国9月製造業・非製造業PMI、中国9月財新製造業PMI、米4-6月期GDP確定値、10月1日に8月失業率・有効求人倍率、9月日銀短観、9月新車販売台数、日銀金融政策決定会合の「主な意見」(9月21・22日分)、米8月個人所得・個人消費支出、米9月ISM製造業景気指数などが発表される。