長期の問題になり得る懸念
このようにフランスに限らずユーロ圏は、ISとの闘いを強いられていますが、中でも一番問題をこじらせていることは、宗教が絡んでいることです。
イスラム国は、イスラム教が社会の中心にあります。宗教の怖さを端的に言えることは、(なにに対しても)妥協しない、終わらないということです。
つまり経済合理性では、説明ができない世界からユーロ圏は攻撃を受けているということです。それが、今ユーロ圏で始まっていることに、深い懸念を覚えます。
したがって、この攻撃は、場合によっては宗教戦争のように何十年という単位で続く可能性すらあります。それによる、ユーロ圏経済に与えるダメージは、ボディーブローのように効いてくるものと思われます。
EU(欧州連合)の理念としてきた「域内の人や物の自由な移動」も、国境検問がテロ対策から既に厳しくなっていることで、事実、簡単ではなくなっています。域外からの観光客も激減するものと思われます。
世界一の観光立国フランスにとっては、大きなダメージになることでしょう。そして、観光客のみならず、地元民も、おちおち外出もできなくなることは言うまでもないことだと思います。
ユーロ大幅下落の要因となるか
こうしたテロは、今後も終わりが見えないままに延々と続くことが予想され、ユーロ圏の体力を大いに消耗させ、さらには域外からの投資を抑えることになり、引いては「ユーロが大幅に下落する主たる原因」になる可能性があります。
上記でも申し上げましたように、ISが関与したとされるユーロ圏でのテロは、ここ1年でパリ、ブリュッセル、ニースなどがありました。
そのたびに多くの犠牲者を出しましたが、ISとあたかも宗教戦争に陥っているとすれば、テロはいつになっても終わらないことになると思います。
それにより、社会全体の恐怖感は、いつになっても拭いさることはできなくなるでしょう。