投資情報会社・フィスコが、株式市場の10月4日~10月8日の動きを振り返りつつ、10月11日~10月15日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は3週連続で続落。9月ISM製造業景況指数が予想外に改善したことに加え、製薬大手メルクが開発中の新たな新型コロナウイルス治療薬への期待から、前の週末の米株式市場は上昇していた。これを受けて週明けの東京市場も反発して始まったが、すぐに失速すると下げ幅を拡げる展開となった。米連邦政府の債務上限問題など外部環境の不透明感がくすぶる中、香港取引所が経営不安に陥っている中国恒大集団の株式売買を停止すると発表したことが投資家心理を悪化させた。また、岸田新内閣の顔ぶれに「期待外れ」との声も聞かれ、週明けの日経平均は326.18円安となった。
5日、6日の日経平均は622.77円、293.25円とそれぞれ下落。産油国の「OPECプラス」会合で大幅増産が回避され、NY原油先物が7年ぶりの高値を付けたことなどを受けて、インフレ加速や長期金利上昇に対する警戒感が高まった。また、国内では岸田文雄首相が金融所得課税の見直しを検討すると明言したことなども売りを誘った。日経平均の8日続落は2009年7月以来12年ぶりで、この間の下げ幅は2700円あまりに達した。
7日の日経平均は149.34円高と9日ぶりに反発し、週末8日も370.73円高と続伸した。米共和党が連邦政府の債務上限について12月まで一時的に拡大する案を示し、これが合意に至ったことで投資家心理が改善した。また、ロシアのプーチン大統領が天然ガスの供給増加を示唆したことで天然ガスや原油等のエネルギー価格が低下し、これに伴い長期金利の上昇が一服したことも安心感につながった。米国株が反発基調を強めたことに伴う安心感から東京市場でも買い戻し機運が高まった。また、週末は国慶節明けの中国市場が上昇して始まったことも安心感を誘った。ただ、米雇用統計の結果を前に様子見ムードも強く、後場は上げ幅を縮める展開となった。それでも6日安値27293.62円からは800円近く上昇し、28000円を回復して週を終えた。
今週の日経平均は一進一退か。週前半は週末に発表された安川電機<6506>の決算や9月の米雇用統計の結果を吸収する展開となろう。その後は、米中に関する外部環境の不透明感がくすぶる中、今月下旬からの7-9月期決算や31日投開票の衆院選の結果を見極めたいとの思惑も働き、様子見ムードが強まりそうだ。そのほか、週後半には指数インパクトの強いファーストリテイリング<9983>の本決算があり、決算を受けた先物主導の動きには留意したい。
米連邦政府の債務上限問題は与野党の合意により、12月まで一時的に棚上げされた。目先の債務不履行(デフォルト)リスクは後退したが、解消されたわけではない。また、中国の恒大集団をはじめとした不動産業の資金繰り問題は今後も折に触れ話題になることはほぼ確実。中国経済に占める不動産業の割合は大きいため、今後も実体経済の下振れリスクはくすぶる。