金利のみを享受する「裏ワザ」に潜むリスク
そもそも、トルコや南アフリカの政策金利が高いことには理由がある。いずれも恒常的な経常赤字国であり、インフレ率は高止まりしている。
トルコは輸出できるような有力な資源もなく、金利を高く設定しなければ外貨を呼び込むことができない。一方、資源国である南アフリカも、資源安などを背景にランドは史上最安値圏にある。
また、いずれの通貨も取引コストであるスプレッドが主要通貨に比べるとかなり広くなっている点にも注意したい。
100円前後のドル円のスプレッドが0.3銭程度であるのに対し、7円台のランド円のスプレッドには片道1銭以上かかるため、その分、コストが高いことがわかる。
注意したいのは通貨単位だ。ドルやユーロなどの主要通貨が100円程度なのに対し、トルコリラは30円台、南アフリカランドは7円台。
つまり、同じ1円の動きでも変動幅は大きくなる。リスクをとって為替差益を取りに行くトレーダーにはチャンスがあるかもしれないが、スワップ狙いの投資家がレバレッジを高くしすぎていると強制ロスカットの危険が高まる。
中には、為替変動リスクを抑えながらスワップ金利を得る「裏ワザ」を駆使する投資家もいる。複数のFX会社を利用した両建て取引を利用する方法だ。
ロングしたときの受け取りスワップが高いFX会社と、ショートしたときの支払いスワップが低いFX会社にそれぞれ口座を開き、支払いスワップより受け取りスワップが大きくなることを確認したうえで、同じ量の買いと売りのポジションを持つのだ。
両建てで為替変動リスクを抑えながら、スワップの差額を得ることができるという算段だ。
とはいえ、一見、安全に見えるこの方法にもリスクはある。