【周囲の反対を押し切って突然選挙に出馬したBさん(男性・60代=当時)】
建設業を経営し、一財産を築いていたBさんですが、突然、地方議員に立候補すると出馬表明しました。
ある程度のお金を手にすると、次は名誉が欲しくなるのでしょう。家族や親戚は猛反対しましたが、「疲弊した地方経済をよくしたい」などと周囲にはばかることなく“世直し”を口にし、選挙戦に突入。
結局、供託金やポスター代などを含め、1000万円以上をつぎ込みましたが、大した地盤も看板も持たず、あえなく落選しました。
資産家のBさんにとって1000万円超の損失はそこまでの痛手ではありません。しかし、出馬したことで、落選後は本業にまで悪影響が及びました。地域に根差した建設業では地元のしがらみは決して小さくありません。
保守色の強い「ムラ社会」では、政治的な色がつくと仕事が受けにくくなるのは自明の理でした。
そればかりか、家族や親戚からも「出馬だけでも恥ずかしいのに、落選したことでさらに辱めを受ける」などと責められ、辛苦がたたったのか、Bさんはほどなくして亡くなってしまいました。
お金よりも大切なものを失う最悪の結末で、「出馬さえしなきゃよかったのに」といっても後の祭りでした。
【まとめ】
・それまで一定の成功を収めてきたせいか自信家が多く、他人のアドバイスを聞こうとしない。自分一人で判断するが、実際は自分でもそれほど深くは考えていない。
・ビジネスや投資、浪費、出馬など、それまで経験のないことを突如始めて失敗を重ねる。
・対策としては、他人のアドバイスを聞き、それらを踏まえて自分でもよく考えること。
※マネーポスト2016年秋号