【身の丈を超えて高級住宅街に暮らすDさん(女性・30代=当時)】
夫婦共働きで、年収は2人合わせて1000万円近いDさんは、東京都心での暮らしに並々ならぬ情熱をお持ちのようで「どうしても山手線の内側に住みたい」と相談に来ました。
「もう少し視野を広げてみては」とアドバイスしても、それだけは譲れない様子。結局、都心の高級住宅街の物件を購入し、住宅ローンの返済は月20万円に上るほどでした。
加えて都心は物価が高く、日々の生活費も家計を圧迫していきます。
ただでさえ家計は火の車であるにもかかわらず、Dさんは「ゆくゆくは仕事を辞めて子育てに専念したい」と言い出す始末。
やがて子どもができて、Dさんは「仕事を辞めます」と宣言しましたが、住宅ローンに生活費、さらには教育費を考えると、家計破綻の危機は避けようがありませんでした。
その後、私のもとに相談に来ることはありませんでしたが、風の噂では地方に引っ越したようです。やはり身の丈を超えた「見栄」は張るべきではない、と改めて痛感しました。
【まとめ】
・年功序列が崩壊し、そうそう収入が増えない時代に突入したため、見栄で失敗するケースはこの10数年で一気に増えた。
・かつては収入同様、資産価値の上昇も右肩上がりで見込めたので、無理してローンを組んででも住宅を購入するのが当たり前だったが、現在は通用しない。
・せっかく他人の意見を聞きに来ても、アドバイスに従って動かなければ元も子もない。
※マネーポスト2016年秋号