コンビニ大手・ファミリーマートが10月19日、新プライベートブランド「ファミマル」を全国1万6000店舗でスタートさせた。既存のPBブランド「ファミリーマートコレクション」「お母さん食堂」は終売し、2022年春までに順次切り替える予定だという。それに先だって行なわれたPR戦略が、コンビニ業界を中心に注目を集めている。
10月18日付の読売新聞朝刊に、「負けていたのは、イメージでした。」と大きく書かれたファミマの広告が掲載された。内容は関東在住の100人に、「“業界1位のコンビニ企業”と、ファミリーマートのハンバーグのどちらがおいしいか」を尋ねた結果、イメージでは「業界1位のほうがおいしい」とした人が88%でファミマは12%だったが、食べたあとは44%と56%とファミマが逆転したというものだ。
「これは明らかに業界最大手であるセブン-イレブンへの宣戦布告だ」と語るのは、コンビニ業界関係者だ。
「セブンが2010年にプレミアムPB路線の先駆けとして発売したのが、金のシリーズの“金の直火焼きハンバーグ”でした。ローソンがバスチー(バスク風チーズケーキ)や生ガトーショコラなどの高級スイーツ路線で対抗するのに対して、割を食っていたのがファミマでした。『お母さん食堂』などの総菜路線は一定の支持を得たものの、激化するPB戦争のなかで埋もれてしまった感は否めない。
そこで思い切ってリニューアルを図り、堂々とセブンの看板であるハンバーグに挑んだのが今回です。ファミマとしては、クオリティとしては負けていないはずなのに、それを伝える努力が足りなかったと反省し、ブランドをリニューアルするこの機会に積極的には魅力を発信していくつもりのようです」
コンビニ業界に詳しい調達コンサルタントの坂口孝則氏は、PB商品こそがコンビニ業界の雌雄を決するとして、こう語る。
「コンビニ各社はPBに力を入れ、熾烈な競争を繰り広げています。コロナ禍でリモートワークが進みオフィス需要が縮小し、コンビニ業界はどこも苦戦しています。そこで利益源となるのがPB。価格は安くても、コンビニサイドからすると利幅が大きい。各社がPBの加工食品とコンビニスイーツなどで購買頻度をあげようとしているなかで、PBで苦戦していたファミリーマートが、ブランドをリニューアルするというのは当然の経営判断だったと思います。とりわけ最近のPBのトレンドは『安さ』『こだわり』『健康』。ファミマもそのど真ん中で勝負をかけてきた印象です」