ただその一方で、製薬会社が高価な新薬を発売しているため、その効果は相殺される状況となっており、今回このような数字となったわけだ。製薬会社としては特許切れやジェネリック医薬品に追われながら市場シェアを獲得できる新薬の開発を必死に行っているのである。
調剤費増大に歯止めをかける策はジェネリック医薬品の使用促進だけではない。医療データの分析・活用も、医療費の圧縮を実現する重要なファクターとなりつつある。
現在、DPC(診断群分類包括評価)を用いた入院医療費の定額支払い制度が普及しつつあるが、このDPCが医療版のPOSとも言うべきビッグデータとして注目されているのだ。
すでに、2011年から原則義務化されたレセプト(診療報酬)電子化によって医療費などのデータは蓄積されているが、DPCは患者の性別、年齢、体重、疾患に、処置や手術、薬の処方、そして在院日数や費用まで紐づけされたデータとなっている。このデータを、在院日数の最適化、費用の最適化、薬の処方の最適化のベンチマークとして活用することが期待されているのだ。
例えば、民間企業で最大規模の診療データベースを保有するメディカルデータビジョン(東証マザーズ上場:3902)は、製薬企業、研究機関、医療機関に向けて診療データを分析し、ベンチマーク化したツールを提供している。