現状では、1週間あたりの労働時間が20時間以上、月収8.8万円以上、勤務期間の見込みが1年以上という条件があるが、このうち勤務期間についても「2か月超」に緩和される。では、厚生年金に加入すると、どんなメリットがあるのか。
まずはシンプルに、将来受け取る年金額が増える。仮に現在のパート月収を10万円とすると、5年加入した場合には月額約2750円、10年加入した場合には同約5500円も年金が上乗せされる計算だ。
節税メリットもある。保険料の全額を本人が負担しなければならない国民年金に比べ、厚生年金は保険料の半分を会社が負担するため、会社員はかなり有利といえる。しかもその保険料は給与天引き扱い。つまり税金が控除されるのだ。
一方、忘れてはならないのは、「それでも保険料の自己負担分がある」ということ。前述したように、会社との折半とはいえ、半分は自分で支払わなければならない。
「厚生年金に加入すると、年金保険料や健康保険料といった社会保険料を支払う必要が出てきて、約15%は天引きされることになります。パート収入が月12万円なら、月額1万8000円。それだけ手取りが減るとなると、負担感も大きい」
現行の制度下でも、住民税が課される「100万円の壁」や、所得税が取られるようになる「103万円の壁」を意識して働いているパート主婦も多い。さらに社会保険料が発生するのは、企業規模によるが「106万円の壁」または「130万円の壁」だ。その壁を越えないために、年末になると勤務時間や日数を調整している人も多いだろう。むしろ、「壁を越えないこと」がパート勤務の人の常識になっている。