企業概要
アドテック プラズマ テクノロジー(6668)は、液晶、半導体装置向けを主力とする高周波プラズマ電源装置の最大手企業。
液晶基板・半導体の製造装置に搭載するプラズマ用高周波電源や、それと組み合わせて使用するマッチングユニット及び計測器等の設計・製造・販売をしており、半導体向け高周波プラズマ電源装置では業界トップシェアを誇ります。
具体的には、プラズマ用高周波電源「TX series」は、従来のサイズから3分の1の軽量化に成功した業界随一のコンパクトモデルで、国内18%、世界でも5%のシェアを獲得しています。
展開する事業セグメントは、プラズマ用高周波電源や計測器を展開する「半導体・液晶関連」に加え、科学実験装置・医療装置などに使用される大型直流電源を展開する「研究機関・大学関連事業」の2つから成ります。
現在、半導体・液晶関連事業が売上の84%(2021年8月期)を占める構成となっていますが、研究機関・大学関連事業においては、がん治療に使う重量子線加速器向けの電源で国内トップシェアを獲得しているなど、第二の柱として成長が加速しています。
注目ポイント
半導体業界による旺盛な設備投資需要が追い風となり、2021/8期は当初予想を大きく上回る好決算で着地しました。続く2022/8期も、旺盛な設備投資需要の恩恵を享受できる見通しで、過去最高益を更新する計画となっています。
利益面では、ベトナム子会社や佐野事業所の生産能力増強に伴うコスト増が見込まれますが、増収効果大きく、これをカバーしてもなお、大幅増益を達成するという、非常に強気な見通しとなっています。中期的な事業環境も良好で、5Gの普及、IoTの進展、EV化といった次世代分野の拡大を背景に、ロジック、メモリ、パワーデバイスとすべての半導体分野で高水準な設備投資需要が見込まれます。
医療分野でも重粒子線がん治療装置用電源の需要が拡大しているほか、新製品の展開もあり、中長期的な成長要因となる可能性がありそう。
同社は成長市場において、ニッチながらもトップシェアを獲得しており(それもいずれの事業セグメントにおいても)、中長期的に成長市場で発生する需要を獲得していくことができると思われます。そのポテンシャルは高く評価されるところとおもいます。
また安全性にも問題ありません。自己資本比率は52.9%、また流動比率は2.59倍、現金等に約27億円保有しています。また約48億円の有利子負債がありますが、現金を差し引いた純有利子負債自己資本比率は0.28倍で、健全です。
【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。