スーパーや飲食店のスタッフ、タクシー運転手や経営者、派遣社員など景気に敏感な層に地域ごとの「街角景気」を聞く内閣府の景気ウォッチャー調査では、10月は全国的に約8年ぶりの高い水準となった。間違いなく消費は急拡大している。
景況感が上向けば、人々の足は旅行やレジャーにも向かう。コロナで大幅減便を余儀なくされていた航空業界は、この年末年始の国内運航率をJALが97%、ANAは98%と平年並みの水準に回復させる。コロナ禍で帰省を自粛させられていた家族が故郷に向かい、2年ぶりの帰省ラッシュが起きると予測されているからだ。
「年末年始の予約は10月1日時点では約20万人だったのが、11月上旬には約60万人と3倍になっています」(ANA広報部)
帰省ラッシュが終われば、観光旅行ラッシュが来る。政府は来年1~2月頃から「Go Toトラベル」を再開させる方針だ。
リゾート会員権売買の仲介を行なう「e会員権」によると、緊急事態宣言解除を目前にひかえた9月に市場平均価格は過去最高の値上がりを見せ、10月も高値圏を維持している。
「宣言が解除されてもまだ海外旅行は難しいことから国内の高級リゾート施設の需要が高まっているためと考えています」(涌井智子社長)
相次ぐ上方修正、過去最高益が続出
消費回復以上に絶好調なのが企業業績だ。コロナ自粛で逆風下にあった外食産業では、巣ごもり需要を取り込んでテイクアウトを伸ばした「ケンタッキーフライドチキン」が過去最高の売上、「餃子の王将」も純利益が2.5倍増の最高売上で業界を驚かせたが、日本企業の底力はそんなものではない。
この11月に次々に発表されている上場企業の9月中間決算では業績の上方修正が相次いだ。
ソニー、トヨタ、富士フイルムをはじめ、伊藤忠、三菱商事、三井物産など大手商社7社、海運の日本郵船、川崎汽船など過去最高益(半期ベース)が続出。伊藤忠の石井敬太社長は会見で、「絶好調の歴史的な決算」と語った。