他にも図の通り、保険料が一定額まで所得控除される個人年金保険や運用益が一定額まで非課税になるNISA(少額投資非課税制度)、つみたてNISAも税金を抑えるツールになる。
さらに「退職金」についても、税金を圧縮する観点でできることがある。
「定年退職する際に、退職金を『一括』で受け取るか、『年金』として分割して受け取るかで税金額が大きく変わります。勤続年数が長い人ほど一括で受け取れば非常に大きな額の退職所得控除が使えます。勤続30年の人は1500万円まで、38年の人なら2060万円まで非課税です。年金として受け取ると、厚生年金などの所得と合算されて税金が増えてしまうケースがあります」
公的年金の受給に際しては「住民税ゼロ」を目指す選択肢もある。東京23区など大都市部では、65歳以上で扶養家族が専業主婦の妻1人の場合、夫の年金収入が211万円未満で住民税非課税となる。
「住民税非課税世帯になれば国民健康保険料や介護保険料も安くなるので、課税か非課税かの境界線を少し超えている人は、年金を65歳以前に受け取る代わりに減額となる『繰り上げ受給』をあえて選んで住民税非課税世帯になる手もあるでしょう。逆に65歳よりも後に受け取り始める『繰り下げ受給』を選んで受給額を増やすと、住民税非課税世帯ではなくなってしまうことがあるので注意が必要です」
※週刊ポスト2021年12月10日号