これまで30年間にわたって1万人以上から転職相談を受けてきたキャリアカウンセラーの錦戸かおりさんはこう指摘する。
「会社や業種というよりも職種で違いが出ます。法務部に再就職する場合は履歴書のミスは完全にアウトです。経歴が間違っていると経歴詐称になってしまうこともありますから。経理部もそうで、細かいところまで正確性が求められる部署はミスに厳しい。当然ですね。一方で営業や企画部門だと比較的細かいミスには許容度があると言えます。その職種にとって、何が必要な要素か。その優先順位の問題です。たとえばマーケティングであれば正確性ももちろん大切ですが、それより企画力や発想力が求められるという意味です」
ミスしやすいと自覚があるのであれば、提出前に第三者にチェックしてもらうという選択肢もあるだろう。転職エージェントやキャリアカウンセラーだと人事担当者の目線でチェックしてくれるのでミスを予防できる。
ウェブ上で文書作成をすると使い慣れないためにミスが生まれやすい。最も自分の使いやすいフォーマットや文書作成ソフトで元の文書をつくり、それを最終的にコピーしてウェブ上に張り付けるなど、ちょっとした工夫を自分なりに考えてみるのも手だろう。
前出の錦戸さんは、部署を移動したとか、何か大きな仕事、役割についたときに、いつどんなことがあったかを日頃から書面にまとめておくことを相談者には勧めているという。
「いざ履歴書に書こうと思ってもなかなか思い出せないことがありますし、記憶が正確でないことも多いですからね。当面は転職する予定がないという人でも、新しい取引先と仕事をする場合などに自分の経歴を説明するベースにすることもできます」(錦戸さん)
自分の仕事に変化があったときにそれを文章にまとめる癖をつけておけば、自分のキャリア形成を客観的に見つめることができ、今後、「こんな転職ができるかもしれない」とか、「ここに転職するにはこういうスキルが必要だな」とわかったりもするだろう。
こうしたテクニックを駆使し、満足できる転職を果たしてほしい。
取材・文/岸川貴文(フリーライター)