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メリットばかり強調されがちな「年金繰り下げ受給」に潜む、大きな落とし穴

 また、繰り下げには“デメリット”がないわけではない。年金受給額が増えることで、「住民税非課税世帯」ではなくなるケースがあるからだ。東京23区など大都市部においては、65歳以上で扶養家族が専業主婦の妻1人の場合、夫の年金収入が211万円未満であれば住民税非課税となる。

「住民税非課税世帯になると、各種保険料が安くなったり、高額療養費の自己負担限度額が低くなったりする恩恵がある。東京都では70歳以上で住民税非課税だとシルバーパスの費用負担が安くなります。今回、政府が新型コロナウイルス対策で『10万円給付』を打ち出していますが、これも対象になるのは住民税非課税世帯です。

 しかし、ギリギリの水準で住民税非課税のはずだった人が、繰り下げ受給で年金額を増やした結果、住民税が課税されることになり、各種の恩恵を受けられなくなるリスクがあるのです」(前出・ベテラン社労士)

 一度増やした年金額を減らすことは基本的に不可能だ。繰り下げ推奨の論調が多いなか、立ち止まって考えてみてもいい。

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