メールの作法については、色々と議論されることが多いが、批判が多いのがいわゆる「退職報告・BCCにて失礼メール」だ。「BCCにて失礼します。このたび、私、これまでお世話になった○○社を卒業し、新たな進路に進むことになりました。在職中お世話になった皆さまには直接お会いし、このことをお伝えすべきですが、メールにてご報告申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願いします」といったもので、この手のメールを散々受けっとってきたネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、このビジネス慣習に疑問を投げかける。
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もう、これ、やめません? だって、このメールくれた人、誰だか分からないことがほとんどなんですよ。ただ一度だけ名刺交換した人全員にこの、「気持ちのまったくこもっていない形式メール」を送っているだけ。よく知っている人は、個別にメールくれるし、「ぜひ、一度飲んでください!」などと言います。
本当に、この「BCCにて失礼します」メール、毎度「お前、誰だよ?」としか思えないものばかり。当人にとっては、人生のハイライトの一つかもしれないが、正直、こちらとしては、スパムメールの一種としか思えない。
恐らくこうした「退職報告メール」を書く方は、万感の思いでそのメールを書いているのでしょうが、その相手の90%以上は「誰?」状態だと思います。
こうしたメールを書くよりは、10%の本当にあなたのことを大事にしてくれている人に対して、直接心のこもったメールを書くべきでしょう。10%の大事な人たちからしても、みんなに同じメールが届いていると思うと反応しにくいでしょうし、「オレもその他大勢の一人なのかよ」と感じてしまう。文字通り、このメールは「失礼」だと思います。
さて、昨今は「年賀状離れ」とも言われますが、今年退職した方は、ぜひとも年賀状を本当にお世話になった方に書いてみてはいかがでしょうか。私自身、2001年に当時4年間務めていた会社を辞めたのですが、その後の無職の期間にお世話になった方々へ、自分の手でお礼を書いたハガキを送った経験があります。
すると次々に電話をいただき、「お前、元気か? 今度メシおごるよ」「お前、仕事ないだろ? 仕事出すからいつでも連絡してくれ」などと言われたものです。