また、つきまとい等や位置情報無断取得を繰り返さなくても、これらの行為で相手に身体の安全、住居等の平穏もしくは名誉が害され、または行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはいけません。こうした行為等をされた場合、程度に応じて次の対応ができます。
(a)警察に自ら防止するための支援の申し出
(b)警察に行為者に対する警告の申し出
(c)公安委員会に禁止命令を出す申し出
(b)と(c)は今後もつきまとい等を反復する恐れがある場合に対象となり、(c)の禁止命令違反には罰則もありますが、行為者の聴聞など一定の手続きが必要です。あなたの場合、会いたくないといっても、夫が家の前で待っていて面会を求めるというのですから、つきまといのうちの(1)や(3)に該当します。その結果、前記の不安を覚えれば、警察に対応策を相談すべきです。
離婚前でもストーカー被害を訴えられるかの点ですが、ストーカー規制法は、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で」つきまとい等をすることを禁じています。婚姻関係にあっても、この目的でつきまとい等の行為をすることは当然あり得ます。離婚前であることは、ストーカー被害を訴える支障にはなりません。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2022年1月20・27日号