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環境試験器で世界シェア1位の日本企業 はじまりは「60年前の挑戦」

経済産業省の「グローバルニッチ企業100選」(2020年)にも選定されたエスペックの歩みとは(公式サイトより)

経済産業省の「グローバルニッチ企業100選」(2020年)にも選定されたエスペックの歩みとは(公式サイトより)

 政財界がタッグを組むことで次世代エネルギー関連など、新たな産業の勃興が期待される。しかし一方で日本企業のなかには、すでに世界シェアトップの高い技術力を持つ企業が多数存在する。世界シェアトップの企業は、どのような歩みで成長していったのか。ある企業の実例を紹介しよう。

「当社は『世界の先端技術にとって不可欠な存在』となることを目指しており、社会や環境に貢献する企業であり続けたいと考えています」

 そう力強く語るのは、大阪市北区に本社を置く「環境試験器」の大手メーカー・エスペックのコーポレートコミュニケーション部の担当者だ。

 環境試験器とは、工業製品の耐久性や信頼性をテストするために、特定の気象環境条件、すなわち極温(極冷)、多湿(乾燥)、高圧(真空)などを人工的に作り出す機器のこと。同社はその環境試験器で世界シェア1位(世界30%以上、国内60%以上)を誇っている。

 世界トップに上り詰める成功のきっかけは、高度成長期に遡る。

「家電製品が急速に普及し始めた頃、家電メーカー各社は故障を減らすため、環境試験を必要としていました。そのニーズの高まりに着目した当社は、1961年、日本初の環境試験器の開発に成功。さらに、他社に先駆けて全国に販売代理店を設けてアフターサービス体制も構築しました。1970年代後半には需要の高まりに応える量産体制をいち早く整えたことが、今日につながっています」(同前)

 世界に目を向けての事業展開も早かった。

「1960年代から輸出を開始し、1980年代初めには米国に現地法人を、中国には合弁会社を設置しました。現在は日本をはじめ米国、中国、欧州、東南アジアなどに子会社を設け、生産拠点は米国、中国、韓国にあります。グローバルに製品・サービスを提供する体制を構築しています」(同前)

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