クーリングオフはFAXですることも可能ですが、確実を期すためFAXと併せて内容証明郵便で通知するのがよいでしょう。クーリングオフをすれば、契約はなかったことになるので、業者は受け取った代金を速やかに返す義務が出てきます。
しかし、正確な法定文書をもらっている場合は、クーリングオフ期間が過ぎていれば契約の申し込みの取り消しはできません。その場合は、法定文書に記載されている工事種類に照らして、その業者が行った工事がずさんでシート掛けした効果がないようなものであれば、請負契約の目的に適合しない不具合があることになります。そうであれば、契約に基づき、業者には契約不適合責任や債務不履行の責任があります。工事し直しを要求し、応じないときは契約を解除して代金を返すように請求できます。
もしお父さんが高齢で判断力や注意力が弱っている場合であれば、特定商取引法では、事業者が「高齢者その他の者の判断力の不足に乗じ、訪問販売に係る」役務提供契約を締結させると行政上の指導や監督を受けることになっています。お父さんから事情をよく確認した上、業者から交付を受けた書面等を持参して消費生活センターに相談に行かれるのがよいでしょう。業者への指導が期待できます。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座、B型。
※女性セブン2022年3月24日号