話し合いで解決できる余地があれば、相手の所在地の家庭裁判所に調停を申し立て、有識者が任命される調停委員の説得を期待するのもひとつの方法です。協議の見込みがないときは、求める慰謝料の額に応じ、あなたの住所地を管轄する地方裁判所や簡易裁判所に婚約の不当破棄を理由とする慰謝料請求の裁判を提起することになります。素人では大変ですから弁護士に相談してください。
次に不誠実な男性を紹介した結婚相談所の責任ですが、結婚相談所は「結婚を希望する者へ異性の紹介」をする事業で、登録者から条件に適した異性をピックアップして紹介することが主たるサービスです。相談にのったり、助言したりするサービスもありますが、相談所は紹介した男性の私生活や申告事項の真実性を保証するものではないと考えられます。なぜなら、結婚するかしないか決めるのは、交際期間を経て相手をよく知った上で判断するはずの本人だからです。紹介するだけの結婚相談所よりはるかに確度の高い情報を入手して判断できるはずです。
過去に同じ問題を起こした人物だとか、不誠実との通報を受けていたなどの特別の事情がある場合は別として、結婚相談所に紹介した責任を問うことはできないと思います。結婚は重大な人生のステップであり、結婚相談所の紹介を受けても、相談所任せにするのではなく、相手の人物像や相性についてはあなた自身が慎重かつ賢明な判断をする必要があるのは言うまでもありません。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座、B型。
※女性セブン2022年3月31日号