遺伝よりも親子関係の方が影響する
元中学教師で子育てアドバイザーの道山ケイさんは、思春期の子供がいる親子1925組に独自アンケートを行った。その結果、父親と母親の学生時代の成績が「オール4以上」だった場合、子供の成績もオール4以上になる割合は、ともに35%だった。以降、親の成績が下がるほど子供の成績も下がっている。
母親の学歴の方が子供の成績に影響を与えやすいという冒頭の調査については、母親の方が子供と接触する機会が多いためだろうと道山さんは話す。
「日本では、母親の方が子供と長い時間を過ごし、教育にも熱心な傾向がある。実際に、私がPTAに向けて講演会を開くと、聴講に来る9割は母親です。小中学生の子供は、わからないことを親に質問して学力を伸ばしていきます。一般的に、父親より母親との接触が密の親子の方が多く、母親の学力が高いほど子供がわからない問題を教えられる可能性が高いため、母親の学力が子供の成績に影響するのでしょう」
さらに、道山さんのアンケートによると、親子関係が良好なほど、子供の成績が上がることもわかっている。
「子供の成績が『オール4以上』の家庭では、親子関係について『非常に良好』と答えたのが52%、『悪い』と答えたのは、たった3%でした。一方で、子供の成績が『オール2未満』の家庭の親子関係は、『非常に良好』が12%しかなく、『悪い』は12%もありました」(道山さん・以下同)
この結果から、親の学力以上に、親子関係が子供の成績に影響を与えることがわかる。仮に親が優秀でも、不仲な親子では、子供は勉強するのをやめてしまうという。
「なぜなら家庭環境が悪いと、子供は学校や友達とのストレスを発散できず、勉強にエネルギーを使えないと考えられるからです」
実際の教育現場では、親の成績が「オール4以上」だったのに、子供の成績が「オール2以下」というケースや、親の成績は「オール2以下」だったけれど、子供の成績は「オール4以上」というケースはざらにある。