その理由は、親が優秀であるほど子供の成績に厳しくなりやすいからだ。
「たとえば学生時代に平均80点取っていた親だと、子供がテストで60点を取っても素直に褒められないことが多い。すると子供はやる気をなくして、勉強しなくなります。逆に自身の平均が30点だった親だと、子供が50点取れたら素直に褒めることが多く、やる気も出ます。子供の成績アップに大事なのは、自分自身の学力ではなく、良好な親子関係を築いて子供の自己肯定感を高めてあげることです」
ただし、高校生になるまでは問題集の解説や参考書を読んで、すべてをひとりで理解できる子供は少ない。親がサポートしてあげられないなら、学校や塾など外部の力を借りることが必要だ。
父親のサポートで学習環境がよくなる
結局のところ、母親の学力が子供に影響しやすいのは、父親の存在感の薄さにも原因があるのかもしれない。「父親が単身赴任中」の方が子供の成績がアップしているのは、経済的な事情もある一方で、「父親が家にいない方が、勉強できる環境が安定しやすい」ことを示しているとも考えられる。
だが、「夫元気で留守がいい」と、のんきなことを言っていたのは昔の話。いまは夫婦共働きが常識になり、家事の分担も当たり前になった。今年4月には、男性の育休取得を推進する新制度の導入、10月には、子供が生まれた直後に取れる「産後パパ育休」の新設が決まっている。父親に求められるのは、「母親と子供の関係をよくするサポート」だと道山さんが言う。
「母親が仕事も育児もする家庭の場合、母親にストレスがたまると子供にイライラしやすくなる。父親が育児にしっかり関与して、母親の負担を減らすことが子供のためにも大切です。また、父親が子供の勉強を見る時間が増えれば、父親からも影響を受けやすくなるはずです」