日本にも物価上昇の大波が押し寄せている。インフレ時代が到来すれば、資産形成のあり方もこれまでと大きく変わってくるだろう。
「インフレ時には、現金や預貯金は“弱い資産”となりますが、株式は“強い資産”となるため、資産形成の第一の選択肢となります」
そう語るのは、経済アナリストの馬渕磨理子氏。
馬渕氏はインフレ下では積極的な投資によって「資産を守ることを考えたい」と話す。
「基本的にモノの値段が上昇すれば企業の収益が上がりやすくなり、ひいては株価の上昇につながると考えます。ただし、インフレとはいえすぐに賃金上昇とはならないため、投資などによって資産を増やさなければ、生活は苦しくなる。値上げが相次ぐいまこそ『株式投資』に目を向ける必要があります」(馬渕氏)
では、インフレ時に株価上昇が望める企業とはどのような業種なのか。
「物価上昇局面で収益の上がりやすい企業とそうでない企業があります。たとえば鉄道や航空、電力、外食など原材料の高騰の影響を受けやすい業種は、業績を上げにくい。物価上昇に強い銘柄をきちんと選ぶ必要があります。インフレ対策として米国が利上げに舵を切り、日米の金利差拡大からドル買いが進んで円安基調が続く見通しですから、円安の恩恵を受ける輸出企業は注目です」
馬渕氏がまず挙げたのが、三菱UFJフィナンシャル・グループ。
「金融業界は米国の金利上昇が『利ざや』の拡大につながる側面もあり、運用益も増加する。メガバンクはもちろん、これまでの超低金利で苦しんでいた損保最大手の東京海上ホールディングスなども運用益でのプラスが見込めます」