それは、まさに、不動産バブルに代表される資産価格の上昇であり、また、経済全体のレバレッジが大きいことである。個人は多額の借金をして不動産を買っており、銀行は理財商品販売を利用したBIS規制(国際業務を行なう銀行の自己資本比率に関する統一基準)逃れの資産規模拡大が問題となっている。企業は成長性を重視した攻めの経営を続けており、負債が過大である。
こうした点に対して、一貫して強い警戒感を抱いていたのは欧米系の機関投資家である。だから、彼らが今回の不動産価格コントロール政策について、どのように評価するのか大いに注目されたのだが、結果はやや拍子抜けの内容となった。
9月30日と10月7日の終値を比較すると、香港ハンセン指数は2.4%上昇、H株指数は3.6%上昇している。
不動産セクターは当然、大きく売られた。しかし、そのほかの大半のセクターが買われたから全体相場は強かった。本来なら悪材料ととられかねない原油先物価格の上昇も、コストの上昇でなく、製品価格上昇ばかりが評価され、石油開発、エネルギー、化学セクターなどが大きく上昇したのである。一言でいえば、欧米系機関投資家にとっては中国リスクよりも、中国期待が強いといえよう。
それは本土投資家についても同じである。休場明けで10日ぶりの取引となる10月10日の上海総合指数は1.45%上昇した。不動産セクターは売られる銘柄が多かったものの、上昇した銘柄もあった。休場中の香港市場と同様で、大きく買われるセクターが数多くあった。