昨今のオフィス環境の激変といえば、テレワークの増加だろう。オンライン会議システムを使っての自宅での仕事や、急増しているサテライトオフィスでの業務でも何ら支障がないといった声はよく聞こえてくる。
「仕事はもうこのスタイルでいいな」「今まで通勤地獄に押し込められていたのは何だったんだ」と思っている人も多いかもしれない。ただ、だからといって仕事の全てを非対面のテレワークで済ませばよいかというと、話はそれほど単純ではないようだ。
NEWSポストセブン「転職研究室」が「テレワークへの意識」について20〜60代の男女にアンケートを行い、「テレワークによる変化」について「業績」「コスパ(生産性)」「社内コミュニケーション」「ストレス」の面でそれぞれ訊いたところ、「業績」や「コスパ」については「上がった」「下がった」の回答数にそれほど差はなかったが、「社内コミュニケーション」「ストレス」については回答数に大きく差が出た。
「社内コミュニケーション」は「減った」が104人で「増えた」が14人、「ストレス」は「減った」が69人、「増えた」が38人となった。ストレスが減ったのは、通勤時間が大幅に短縮されたことや、家族と過ごす時間が増えたからといった理由もありそうだ。
一方、「減った」との回答が大勢を占めた社内コミュニケーションの面はどうか。転職後にテレワークが大幅に増加する場合は、この点について考えておいたほうがよさそうだ。キャリアカウンセラーで年間200人以上の相談を受けている錦戸かおりさんはこんな話を聞いたという。
「週2〜3日のテレワークで経理に勤めていた方が、フルリモートを希望して転職先を探しました。同じ経理の仕事で念願のフルリモートで働ける会社に転職できたのですが、最初は相当苦労したようです。
まず会社に入って最初からフルリモートだったため、同僚にどんな人がいるかよくわからない。すごく期待していると言われて入ったために、『できる私』でいなければならないと感じ、業務に必要なことをなかなか訊けずにいたようです。
そのため入社3か月目くらいまでは『つらいです……』と私に打ち明けていたのですが、それ以降はだんだんと慣れてきたようで、今は『だいぶ慣れてなんとかやっています』と言っています。
今まで何年も務めた会社でテレワークをはじめるのと、初めて働く会社で最初からびっしりテレワークをするのでは全く状況が違います。そこで戸惑わないようにするために、転職先にはテレワークについて重要なことを事前に質問しておいてほしいと思います」