ヒルズクラブに繰り出すのはたいてい、仕事が終わった夜。当然、帰りは遅くなります。そのころの僕は、埼玉県内の会社の片隅にある、わずか2畳のキタナイ小部屋で寝ていました。
実家にも寝床はあるけれど、帰るのが面倒で仕事が終わると会社でそのまま寝てしまうのです。
そんな面倒くさがりの僕ですから、当然、六本木から埼玉まで帰るのもだんだんおっくうに思えてきます。電車は混むからあんまり乗りたくないし、かといってタクシーを使うと1万円以上かかってしまいます。
さすがにもったいないと思うようになりました。何より、ヒルズで気持ちよく酔った後に、キタナイ部屋に帰りたくない。そのままヒルズで眠ってしまいたいのです。
そこで、いよいよ僕は、ヒルズの中にあるマンション、「六本木ヒルズレジデンス」への入居を考えるようになりました。
インターネットで調べてみたところ、このレジデンスは4棟あって、そのうち1棟は家具や生活に必要なものがそろったサービスアパートメントだということがわかりました。
いくらヒルズに豪華なマンションを借りても、自宅や会社にある安っぽい家具を置くのも興ざめです。だからといって、いつお金がなくなって退去するハメになるかわからないのに、高級家具を買うのはリスクが大き過ぎます。
FXではほとんどリスクを考えなかった僕ですが、こういうときにはなぜかリスクを計算してしまうのです。
家具付きマンションなら、そこに見合う家具が全部そろっているわけですから、まさに僕にピッタリ。さっそく、この棟に空きがないかを電話で問い合わせると、「ある」ということなので見せてもらうことにしました。
案内してもらった部屋は、広々とした1ベッドルームタイプ。普段寝泊りしている雑然とした部屋とは似ても似つかない、高級ホテルのスイートのような豪華な部屋でした。