そのころには、もう普通の個人投資家みたいに1枚(1万通貨)とか10枚といったトレードはしなくなりました。だって1枚といったら、ドルでも100万円程度。
儲かるとわかっているのにそんな小額の取引、まどろっこしくてやっていられないからです。取引単位はすぐに100枚になり、それでも面倒くさくなって、ついには、
「1000枚買っといて」
と、機関投資家並みの注文を出すようになったのです。1000枚買うということは、相場が1円動くだけで1000万円の利益(か損失)が出るということです。実際、わずか30分で1000万円をゲットしたこともありました。
しかしもちろん、100%儲かるわけではありません。買うタイミングを間違うと損を出すこともあります。
こうしたポジションはすべて、スワップポイントを稼ぐための「スワップ要員」として、含み損を出したまま蓄積していました。これがピークに達したころには、ひと月に3000万円ものスワップポイントがドッサリ入ってきたときもありました。
ただし当然、そのときに抱えている含み損はそれ以上。儲かるときも大きいけれど、億単位の損失を抱えることもしょっちゅうでした。
日常的に億単位の含み益や含み損を抱えるようになると、感覚が麻痺してくるのか、マイナスが大きくなってもさほど気にならなくなってきます。
「あれ、いつの間にこんなに膨らんじゃったんだろう」
とか、
「やべーな」
と、多少あせったりはしますが、だからどうということもありません。いよいよ強制ロスカットされそうになるほど含み損が膨らんでくると、どうにかして手当てするのですが、それでも、
「ま、仕方ないな。また稼ごう」
という感じ。別に目に見えるかたちで現金をやりとりしているわけではないので、あまり現実味がなかったのです。