オイオイ、機関投資家っていったら、銀行とかヘッジファンドじゃないですか。僕はしがない個人事業主ですよ、とひそかにツッコミを入れてしまいました。
まあ確かに、こんな大きな取引を個人投資家がやるなんて普通はだれも思わないから無理もないことなのかもしれません。
でも、当時は日本のFXブームのひとつの絶頂期。「普通の主婦がFXで何億円も稼いだ」、なんてニュースが頻繁に報じられるようになり、海外のメディアでも日本のFX投資家が"キモノ・トレーダー"や"ミセス・ワタナベ"などと呼ばれて注目を集めるようになっていました。
僕も含めた個人投資家の多くは、ほとんどが外貨買いのポジションを持っていました。相変わらず日本の金利はほかの国と比べると低いままで、外貨を買うだけで、毎日金利が付くんですから、当然といえば当然です。
そうなると、円安になればなるほど儲かります。買うから円安になる。円安になるから買う。その繰り返しを続けているうちに、海外の機関投資家やヘッジファンドが、どれだけ円高にもっていこうとしても、日本のFX投資家が、それを跳ね返すだけの力を持つようになっていったのです。
そして2007年7月20日、ついに1ポンドが251円を超えました。ここ数年でもっとも円に対して高くなった瞬間です。このとき、僕の実質的な資産を示す証拠金の額も10億円に達しました。
これは、今まで報じられてきた個人投資家のFXの利益としては、最高額ではないでしょうか(もちろんその時点でポジションをすべて決済していれば……、という話ですが)。「日本で一番ポンド/円を持つ男」が、そのまま「日本一のFX投資家」になった記念すべき瞬間です。