■そして悲劇は訪れた。一晩で4億円の損失で「ひとり反省会」を開催
評価益が10億円になったといっても、まだまだこれは通過点。笑われるかもしれませんが、当時の僕の目標はドドーンと1兆円です。
「オレのFXトレードは絶対に正しい。さあ、この調子でガンガン稼いでいくぞ! 」
と気持ちをさらに奮い立たせていました。
しかーし! ……その喜びもつかの間。そのわずか数日後に、予想だにしなかった悲劇が訪れたのです。
とあるパーティに招待されて仲間たちと楽しんでいたところに、取引会社の担当者がケータイを鳴らしてきました。
「磯貝さん、大変なことになってます!」
僕の可愛いポンドちゃんが、大暴落していたのです。
「マジかよ!? なんとかしてくれ!」
持っているポジションがあまりにも大きいので、強制ロスカットされるほどに円高が進めば、その損失は計り知れません。あわてて保有していたポンドのポジションを決済してもらいましたが、時すでに遅し。
10億円あった証拠金は、一瞬のうちに6億円にまで減ってしまいました。それでもまだ助かったほうでした。もしこの担当者が連絡をくれていなかったら、損失はこれだけでは済まなかったでしょう。
そう自分に言い聞かせても、やっぱりヘコみました。それまでも、何千万円も損失を出してしまったことは何度もありましたが、一晩で4億円もスッてしまったのはさすがに初めての経験だったからです。
この夜はとても自宅マンションにまっすぐ帰る気になれなくて、ザ・リッツ・カールトン東京の45階のラウンジで、シャンパンを飲みながらひとりで反省会をしました。
「なんでこんなことになったんだろう? ポジションを大きくし過ぎたのがいけなかったのか? いや、ポンドばかりに集中したのが悪かったのか?」
と、自分なりに、シャンパン片手にほろ酔い気分で、反省したつもりでした。でも、今にして思えば、そんなに深刻には考えてはいませんでした。
なんといっても、カンタンに増えて、カンタンに減ったお金です。もう少し注意深く取引すればまたカンタンに取り返せると思っていたんです。
そして僕は、この大損失をリベンジすべく、すぐにポンド買いを再開しました。でも、後になってみれば、この日の暴落なんてほんの序章に過ぎませんでした。