全世界型投信を20年以上持っていて元本割れしたケースはない
だが、どうしても気になるのが世界情勢。ウクライナ問題に加えて、最近では米国がIPEF(インド太平洋経済枠組み)の立ち上げに動いたり、世界経済は今後も激動しそうだ。
「どうなるかわからないからこそ、全世界に分散投資しておくことが大切。インデックス投信は、調子のいい国や業種の株の比率が自動的に増えるように調整されます。
中長期的には、アメリカを中心とする国々と、ロシアをはじめ中国に近い国との経済的分断が進む可能性があります。これは円安とあいまって、日本の産業にとってはチャンスかもしれません。個人では、日本株を含む全世界型のインデックス・ファンドに投資しておくといいでしょう」(山崎さん)
初心者ほど「株価が下がったから、早く手放さなきゃ」「やっぱり下がった、もうやめる」などと一喜一憂しがちだが、インデックス投信では、個別株のように「○%以上損したら売る」といった損切りは必要ない。
「全世界株式の投資信託を20年以上持っていて元本割れしたケースは、過去に一度もありません。もちろん、この先も絶対にないと言い切ることはできませんが、もし途中でマイナスになっても、いずれプラスになる可能性の方が高いのです。むしろ、株価が下がっているときは“同じ金額でもたくさんの株が買えるチャンス”です。余裕があれば、金額を少し増やして買い足す手もあります」(藤川さん)
山崎さんは、売り買いをせずに「ほったらかしておくこと」が大切だと話す。
「正しく投資する限り、元本がゼロになるようなことは、現実的にはほぼありません。お金が必要になったら、自分の買値にこだわらず、必要な額を部分的に解約して使ってください。
お金は、使うためにあります。計画的な貯蓄と取り崩し、分散された低コストな長期投資ができれば、インフレにも円安にも、老後の生活にも役立つはずです」(山崎さん)
投資である以上、リスクはつきもの。だからこそ、無理のない範囲で地道に積み立てていくことが、いちばんの備えになる。
※女性セブン2022年6月16日号