「死に金」は反省次第で生き返る
日本人は必要以上に「清貧の思想」を大事にしてきたのではないか。バブル崩壊直後のベストセラー『清貧の思想』やバブルの反省もあいまって、日本人にはいまだに「金儲け=悪、清貧=善」というスタンスが染みついている。
「“お金持ちは悪人に違いない”という考えを持つ人は、お金を受け取ることや使うことに無意識に罪悪感を抱くので、お金と上手につきあうことができなくなります。お金は、仕事をしたり、リスクを引き受けた対価であり、誰かの役に立った感謝のしるしです」(生方さん)
生方さんも黒田さんも、仮にお金の使い方を間違えたとしても、そこから学んで次に生かせば、「死に金」も生き返ると言う。
つまり、お金を使うたびに、それが「生き金」か「死に金」か見直すことが重要だ。
「金額よりも、そのお金の使い道に満足しているか、後悔しているかが重要です。いちばん効果的なのは、レシートを取っておいて、家計簿をつけること。私自身、数年周期で無性にブランド品が欲しくなることがあります。家計簿を振り返ることで自分の“死に金の傾向”がわかったのです。数回しか袖を通していないものがあると、家計簿に×印をつけて買取業者に出しています。
一方、旅行のときの出費は私にとっては“生き金”です。“○○ホテルのレストランで○○円”といった記録を見るだけで、そのときの思い出がよみがえるのです」(黒田さん)
自分にとって何が「生き金」で、何が「死に金」かがわかれば、ムダ遣いが減り、たとえ高いものでなくても、買い物の満足度が上がるのだ。それはすなわち、人生の質を上げることに直結する。友野さんは、お金の本当の価値は数字ではないと語る。
「お金は“モノ”ですが、目に見えない部分にこそ価値がある。どんな思いでそのお金を手に入れたか、どうやって使ったか、その結果どんな気持ちになったかが重要です」(友野さん)
もう一度、考えてみてほしい。いま、あなたの財布に入っているお金、出たばかりの給与、貯金の目標金額──何のために使えば、あなたは幸せになれると思いますか?
※女性セブン2022年6月16日号