山岳部出身で「スケールがデカいモノ」への執着
現在は広島県に住むNさん(40代/男性)は、学生時代は山岳部に所属し、海外遠征まで行った本格的な山男。とにかく山に入り浸り2年も留年したHさんが就職活動をすることに友人たちは驚いたが、Nさんが狙う企業を聞くと、意外と納得できるものだったという。
「チマチマとしたことはできないし、やりたくもないので、とにかくスケールがデカいものを作っている会社ばかり受けたんです。造船、鉄鋼、化学プラント、港湾、ゼネコン、工作機械、ドーム球場、空港、地図を作る会社……“大きな物”を頭に浮かぶ限り書き出して、それを作っている会社に片っ端から履歴書を送り、面接でもバカの一つ覚えで『大きなものを作りたい』と言い続けたら、何とか1社、鉄鋼系の会社に引っ掛かりました。
いま考えれば、どれだけ大きな物を作っていたって、細かい作業をする人間は絶対に必要なんですけどね(笑)。けれども私の希望は通り、ずっと船舶関係の部署にいて、とてつもなく巨大な部品を作っています」(Nさん)
面接官も「困ったヤツだな~」と苦笑い
これまで紹介したMさんやNさんは、“自分が好きなこと・やりたいこと”という点で一本筋が通っていたが、Oさん(40代/男性)が重視したのは仕事内容ではなく、“働く場所”だった。
「就職活動を始めるにあたり、冷静に自己分析すると、自分は到底出世できそうなタイプじゃなく、上に言われるままコツコツやるぐらいしかなさそうだなと。それなら“サラリーマンの聖地”の新橋で働こうと思ったんです。サラリーマンの街頭インタビューって必ず新橋ですよね? あれに出る人たちを見てると、どれだけ仕事が辛くても、気持ちよく飲んで憂さ晴らししてるじゃないですか。ああいうサラリーマンになってやろうと思って、新橋に本社がある企業ばかり受けました。
面接でもハッキリ『新橋で働きたいです。飲み屋もたくさんありますし』と言ったら、意外と好感触で、メチャクチャ嬉しそうな顔で“困ったヤツだな~”って笑っていた人もいましたね。結局、新橋駅から徒歩5分ほどの場所に本社がある某大手企業から内定をもらい、仕事終わりは毎日のように飲み歩いています。
本社の場所柄なのか、とにかく酒好きの社員が多くて、飲む相手探しには苦労しませんが、泥酔した社員が社章を付けたまま街頭インタビューに出て以降、社内には『新橋で飲むのは構わないが、街頭インタビューには出るな』というお触れが出ています」(Oさん)