夫婦問題評論家の池内ひろ美氏は「一緒に旅行に行ってもいいが、帰宅後の衣類などの整理を妻任せにしないのが条件」と指摘する。
「帰ってきてから旅先で使った衣類の洗濯や片付けをするのが面倒なのですが、夫が手伝うケースは稀です。そうしたことが続くと、妻は“気を使わないで済む女友達と行きたい”と考えるようになるわけです」
ひとりになるための準備
普段の“席配置”にも注意を払うのがよいという。「面と向かって話すのはやめたほうがいい」とするのは前出・林氏だ。
「向かい合って会話をしていると、どうしても気まずくなる。食事時も向かい合って座るのはやめる。横並びや、90度の位置に座るといいでしょう。心を通わせて話したい時は横並びがいいんです。ドライブで運転席と助手席に並んで前を向いていると、話が弾みやすいでしょう。『共視関係』と言いますが、同じものを見ているほうが話しやすい。窓に向かって置いたテーブルに並んで座り、外を見ながら食事をするのが望ましいのです」
識者は口を揃えて「妻に頼りすぎない関係」を推奨する。前出・辻川氏は「それが、やがてくるひとり暮らしの準備になる」という言い方をした。
「男性の寿命が延びてきて、夫婦どちらが残るか分からなくなってきました。それだけに、夫婦のどちらかだけがもうひとりを支えるような関係は避けたほうがよいのです。歳を重ねれば入院などでどちらかが長期に家を空けることも考えられる。まだお互い元気なうちからひとりで生きるスキルを磨くことが重要です」
夫婦間の“当たり前”を少しずつ修正していくことが大切なのだ。
※週刊ポスト2022年6月24日号