「不動産投資を始める際、アパート1棟丸ごとというより、1戸単位の区分所有からスタートする大家さんが圧倒的に多い。ローンを組まずに現金購入で始めることもできるので、借金をつくりたくないシニア層が、老後資金を運用するために数部屋から始めるというケースが増えているようです。
不動産投資の裾野が広がる中で、近年、その中から資産10億円を超える『メガ大家』と呼ばれる人たちも現われています。彼らの多くは小さな元手からスタートして、経験を積み重ねていくことで『メガ大家』になったのです」
10億円という金額には驚くばかりだが、実際にメガ大家となった人の証言からは、決して“投資の天才”という印象は受けない。
保険会社勤務のサラリーマン時代に不動産投資に目覚め、わずか10年で9棟・160戸もの物件を所有するまでになった横浜在住の寺尾恵介氏(43)は、「メガ大家」という言葉の生みの親でもある。寺尾氏が語る。
「最初の1棟目は木造アパート。前の大家さんが家賃滞納者が多いことに嫌気が差して安く売っていたのを買いました。金額は1980万円で、そのうち1700万円は銀行からの借り入れです。
購入後、滞納者に内容証明を書いて督促したりしたら滞納が解消されて、最終的には7年ほど経っても価値が下がらず転売できた。このとき、“磨けば光る物件を買って、価値を上げればいい”と学びました。株は買ったら上がるのを待つだけ、為替も買ったら変動するのを待つだけですが、不動産投資は事業性が高く普通の仕事に近いので、サラリーマン経験者に向いていると実感しました。