国民から預かっている130兆円の年金資金を運用する世界最大の機関投資家「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)が大損失を出した。
今年7月の参院選後に公表された2015年度の運用損失は実に約5兆3000億円。それに加えて今年4~6月の3か月間だけで5兆2342億円の穴を空けたことも明らかになり、この15か月での損失合計は10兆5000億円を超えた。
往生際が悪いのは、GPIFが運用損失の責任を「他人のせい」にしようとしていることだ。
GPIFは保有する日本株の資産管理を委託している日本トラスティ・サービス信託銀行を通じて、不正会計事件による株価下落で120億円の損失を受けたと東芝に損害賠償請求訴訟を起こしている。
他にも燃費不正が問題化したドイツのフォルクスワーゲン(VW)に対する集団訴訟にも参加。まるで“運用損失を出したのはお前たちのせいだ”といわんばかりの姿勢を見せている。金融論が専門の相沢幸悦・埼玉学園大学教授は厳しい見方をする。