原告弁護団の加藤健次・弁護士は「これは詭弁だ」と喝破する。
「年金を減額するときの国の言い分は決まっています。『世代間の公平』と『公的年金制度の維持』のためです。現在の年金水準では将来世代の給付が減るから不公平になり、社会保障に回せるカネが少ないんだから制度を維持するためには減額は仕方がないと主張しています。
政府は年金制度は100年安心というが、2年先の経済見通しさえ誤っている。長く賃金が上がらず、現役世代から入るべき保険料が足りないから、場当たり的に高齢者から年金を奪っているにすぎない。
国民皆年金制度が始まった1960年代のはじめ、国の社会保障審議会は『皆年金をやる以上は、公的年金は生活保護以上の水準を目指す』と謳っていた。それが今や、『財源がないから仕方がない』と言う。国が国民の生活設計を支えることを放棄しているのだから、年金減額は世代間の公平のためでも制度の維持のためでもない」
「保障するなんて書いてない」
加藤氏の指摘通り、年金減額取り消し訴訟で国が提出した準備書面には、年金減額が必要な理由として「受給者世代と現役世代との公平性」、「持続可能性」などの言葉が並び、年金額や保険料は「高度な専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を行う必要があるのであって、立法府の広範な裁量に委ねられている」と主張している。
年金を減らすかどうかは“お上”が決めるという姿勢だ。厚労省年金事業管理課に質した。