このように企業PRを通じて関係性を築いていた例もあれば、その人の専門性がポイントとなったケースもある。
元フジテレビアナウンサーで弁護士の菊間千乃さん(50才)は、コーセーやアルコニックスなど4社を兼務しているが、その選任理由についてコーセーの経営企画部・広報課の岩﨑真吾さんは、「弁護士としての高度な専門知識を持ち、特に企業法務において高い見識を有しています。2018年6月に就任されました」と語っている。
社外取締役の選任理由については、各社のオフィシャルホームページで明らかにされている(以下、《 》部分はホームページ等より抜粋)。
2012年にTBSを退社したフリーアナウンサーの竹内香苗さん(43才)は、2社の社外取締役を務めており、その1つ、SBIホールディングスは、《家計における金融サービス選択の実質的な権限を女性が持つことが益々進んでいる状況下、女性の視点に立った商品開発が重要》と綴っている。
また、情報番組などのコメンテーターとして活躍する伊藤聡子さん(55才)は、十六銀行、積水樹脂など3社を兼務(1社は監査役)している。十六銀行のホームページには《報道・情報番組キャスターや大学教授を務め、環境やエネルギー、地方創生、ESG、サステナビリティ等の分野において豊富な経験と幅広い見識を有しております》とある。
具体的な仕事内容と気になる報酬「常勤の必要なく兼任も可能」
では、社外取締役の具体的な仕事はどんなものだろうか。
菊間さんのコーセーでの仕事内容は「取締役会年14回と取締役会の事前打ち合わせ、および年6回の会議のほか、各種委員会への参加や、社内研修の講師などの実績があります」(岩﨑さん)とのこと。
また、フリーアナウンサーの草野満代さん(55才)はオンワードホールディングスで社外監査役を務めるが、同社のホームページには、《長年のメディア業界での経験と政府関係の各種会議委員としての経験と豊富な知識から発言を行っております》とあり、事業年度内に行われた取締役会11回と監査役会16回への出席回数は100%だ。
報酬についても気になるところだが、監査・保証業務などを営むデロイト トーマツ グループの『役員報酬サーベイ(2021年度版)』によると、社外取締役の報酬の中央値は年額800万円となっている。