新型コロナウイルスの感染拡大から3度目の夏を迎え、熱中症予防のために「体調に応じて、屋外で人と充分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合には、マスクをはずすように」と厚生労働省が呼びかけるなど、さらなる「新生活様式」に移行している。
社会経済活動が正常化に向かいつつあるものの、物価高の影響が色濃い中、「2022年、上半期売れたものランキング」が、市場調査会社・インテージより発表された。これは、全国約6000店舗のスーパー・コンビニエンスストア・ホームセンター・ドラッグストアなどから収集した小売店販売データ(2022年1~5月分)を集計し、2021年の同期と比較したもので、消費行動の変化がわかりやすくなっている。
その1位は、前年比245%の「オートミール」だった。同社の市場アナリスト・木地利光さんは、次のように分析する。
「オートミールはこの3年で注目されるようになった商品で、ここまで急速に売り上げが伸びるのは極めて異例です。コロナ禍前の2019年と比べると、販売金額は1348%にまで達しています。市場規模では2017年の約5億円が、2021年には約54億円ですから、すさまじい成長と言えるでしょう。手軽な朝食としてコーンフレークなどのシリアルがありますが、昨年11月には販売金額でオートミールがコーンフレークを逆転しています」(木地さん・以下同)
低カロリーで食物繊維が豊富なことから、健康・ダイエット・美容食品として注目を集め、コロナ禍の2020年に、まずはダイエット食としてインターネットを中心に10~20代の若い世代に広がり、昨年は40~50代の主婦層にまで広がっていった。シリアルが主に朝食で食べられるのに対し、オートミールの場合は、水につけてレンジ加熱することで、米のように使う「米化」ができる。さまざまな料理にアレンジして昼食や夕食、おやつとしても食べられていることがヒットの要因だ。
「さまざまな商品の値上げが続く中、大手メーカーの参入によってここ数年で価格が安くなり、割とリーズナブルに手に入ることも、売り上げを伸ばした理由だと思います」