快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

売れ行き好調の「三菱eKクロスEV」「日産サクラ」 近距離移動をラクにする軽EVの魅力

アウトドアイメージの強い「三菱eKクロスEV」のフロントマスク。ダーククロムメッキのフロントグリルやLEDのフロントフォグランプを採用し、ワイルド感を演出

アウトドアイメージの強い「三菱eKクロスEV」のフロントマスク。ダーククロムメッキのフロントグリルやLEDのフロントフォグランプを採用し、ワイルド感を演出

 今年6月16日に発売され、販売目標を大幅に超える売れ行きを見せている「三菱eKクロスEV」「日産サクラ」。その人気の要因について自動車ライター・佐藤篤司氏は、「2台目以降でガソリン車などと使い分けている人が多い」と分析する。シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」、今回は佐藤氏が「三菱eKクロスEV」に実際に乗って感じた、軽EVならではの魅力を紹介する。

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 あれほど「遅れている」と指摘されていた日本のBEV(バッテリーEV)ですが、ここに来て日産アリア、トヨタbZ4Xにスバル・ソルテラをはじめとして、国産メーカー各社から次々に魅力的な個性を備えたBEVがデビューしました。そこへ新たに航続距離180km(WLTCモード)という短距離移動を主目的とした軽自動車EV(以下、軽EV)が2台加わりました。最上位モデルは300万円に届こうかというプライスですが、電気自動車への国の補助金(55万円)や地方自治体からの補助金(東京都の場合で45万円)のおかげもあり(※補助金は申請額が予算額に達した場合、受付終了となる場合があります)、大人気となっています。いったいそこには、どんなEVライフが待っているのでしょうか。

発売前に目標台数の4倍超え

 今回紹介する軽EVは「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」の2台です。日産自動車と三菱自動車が軽自動車開発のために立ち上げた合弁会社「NMKV」で企画・開発された兄弟車です。つまり基本構造や走行性能は同じですが、内外装のデザインや細かな装備品を変更することでブランドとしての個性を出しているのです。今回はアウトドアイメージを大切にした三菱eKクロスEVを中心にチェックしたいと思います。

 発売開始は6月16日(サクラも同じ)でした。5月20日より先行注文を開始していたのですが、6月12日時点ですでに月販売目標台数850台の4倍、約3400台を受注するほどの人気でした。また補助金などの影響もあり、全体の約6割の人が上級グレードの「P」を選択したといいます。ちなみに日産サクラの傾向も同じで6月13日までの時点で1万1429台受注。人気のグレードはeKクロスEVとは少し状況が違い、約4割が最上位「G」を選択、6割が標準グレードの「X」を選択したといいます。

 それにしてもなぜこんなにも人気なのでしょうか。今回の軽EVで、多くの人たちが気にすることといえば、充電時間の長さと、一充電当たりの航続距離の短さです。当然のようにBEVは「できる限り長く走れて、充電回数も少なくて済む」のがよいものです。一方、軽EVは、20kWhという小さなバッテリーを搭載し、一充電による航続距離が180kmと、まさにシティコミューターのような短距離での使い方が中心となります。

 実はこれには根拠があります。メーカー側の調査ですが「日本の乗用車の53%は、1日の移動距離が30km以下、94%が180km未満で過ごしている」という現状があるそうです。これに従えばガソリン車が苦手とするストップ&ゴーが連続する市街地や、短距離でのショッピングなどでは軽EVの性能で十分となります。仮に複数台所有しているということであれば、休日のロングドライブは高速道路などの一定走行が苦手なEVを家に置き、ガソリンエンジン車やハイブリッドなどに任せるという、キッチリとした使い分けが可能になります。はっきり言えば、内燃機関とBEVとが、お互いに不得手な交通状況を補填し合うことこそ、低炭素社会への近道なのです。

 実際、今回の軽EVには、2台目以降の複数所有という人も多く、さらに以前より電気自動車に興味を持ち、ガソリン車などからの買い替えという人が多いようです。

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