検索履歴、閲覧履歴、位置情報、サイト滞在時間、「いいね」など、ネット上での行動はその多くが記録され、ビッグデータとして蓄積される。
ビッグデータを重視する「監視資本主義」はしばしば、人間を置き去りにしてしまう。ビッグデータ活用における大きな問題は「企業が正義を守るとは限らない」ということだ。すでにネット上では、詐欺目的でつくられたサイトも跋扈している。初めから個人情報を盗むためのサイトさえあるほどだ。
「ネットショッピングはリスクと引き換えだ」と語るのは、元警察官で日本刑事技術協会理事の森雅人さんだ。
「ネットショッピングをするなら、せめてAmazonや楽天など、ある程度大手の国内サイトや、ブランドやメーカーの公式オンラインショップなどを利用した方がいい。一方で、Googleなどの検索エンジンで商品名を検索し、その過程で見つけたサイトの中には、詐欺サイトも交ざっています。粗悪品を売りつけられる可能性があるだけでなく、住所やクレジットカード情報を抜き取られる恐れもある」
森さんによれば、こうした詐欺に引っかかる傾向が高いのが「占い好き」な人。占いサイトは多くが無料登録制で、登録時に入力したデータが「カモリスト」として出回ることがあるという。
「われわれの経験則では、占い好きな人は、詐欺集団から“簡単に人を信じやすい”と見なされ、目をつけられることが多いのです。商品の代金やサイトの利用料金の支払いの際にクレジットカードを登録すると、やはり大きな被害につながりやすい。たとえクリーンな企業やサイトでも、ハッキングによって情報を抜き取られるリスクはゼロではありません。カード情報は、サイト上には登録しないように」(森さん・以下同)
TwitterやInstagramといったSNSは、一度ログインすれば、二度目からはIDやパスワードの入力をせずとも利用できる。これは「Cookie」という閲覧記録システムによるものだ。ユーザーのログイン情報を保存しておくことで、その人が再び同じSNSやサイトを訪れたときに、再ログインする手間を省くことができる。
だが、ネット上でCookieを使用され続けるということは「このユーザーは何度もこのサイトを閲覧している(このサイトの内容に強い関心がある)」と分析されるということ。記録されること自体に危険性はないが、悪用される恐れは充分にある。