道が少し空いたところで、右手のアクセルをグッと開けました。Vツイン独特の鼓動感が顔を見せ、グングン加速していきます。欧州や日本製バイクのような、触れればすぐに切れそうな鋭い加速ではありません。でもハーレーだから別に構いません。いえ、別に比較対象と比べることなど無く、まさに孤高の存在といえるでしょう。走り込むほどにガレージに収めたくなるのですから、やはりすべてがスペシャルで憧れにふさわしい魅力に満ちていたのです。
ただし、それを実現するにはライセンスの問題があります。もし大型バイクのライセンスを持っていない人が、この経験を共有するためには「普通二輪免許所持の場合」でも約9万~12万円、教習時間1か月程度は最低でもかかります。「普通自動車免許所持の場合」は約20万~22万円、1~2か月程度は必要となるはずです。そうしたことも含め、覚悟が決まれば人生をちょっぴり刺激的に過ごすために最適なアイテムを手に入れることになるかもしれません。
こうして色々と言いながらも、実際に自分が買ったらどこへ行くだろうと、思いを巡らせてみました。すると夏の暑さのせいでしょうか、思い浮かぶのは軽井沢の小道であったり、那須高原をゆったりと縫うように走るワインディングだったり、ライダー憧れの、どこまでもまっすぐに続く北海道の道だったりしているのです。「暑いときは南へ」というあの旅の醍醐味とは正反対の考えしか浮かんでこないのです。まだまだ修行が足りないのでしょうか……。
【RH975ナイトスター】
価格:195万4700円~(税込み)
ボディサイズ(mm):全長×全幅×全高:2,250×836×未公表
シート高:705mm
車重:221kg
駆動方式:ベルト駆動
トランスミッション:6速MT
エンジン:水冷V型2気筒DOHC 975cc
最高出力:89ps(66KW)/7,500rpm
最大トルク:95Nm(9.7kgm)/5,750rpm
問い合わせ先:ハーレーダビッドソンジャパン:0800-080-8080
【プロフィール】
佐藤篤司(さとう・あつし)/自動車ライター。男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う。著書『クルマ界歴史の証人』(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。