「とろもも」ブランドを一流シェフたちも支持
古山氏が桃の品質管理に注力したきっかけのひとつは、ほかの果物への嫉妬心もあったという。
「夕張メロン」、マンゴーの「太陽のタマゴ」、ブドウの「ルビーロマン」などはどれもブランド化し、初物となれば高額の「ご祝儀相場」で競り落とされニュースとなる。しかし今まで、なぜか桃はご祝儀相場がつく対象に入らなかった。東京の高級果物店であっても1個3000円程度が最高値で、話題の盛り上がりに欠ける。そこで彼は自力でのブランディングに着手、甘味と旨味を高めた桃で勝負に出た。
現在、古山氏は糖度15.5度以上の桃を「とろもも」のブランド名で展開する。糖度によっては1玉5万円、10万円する桃が売れに売れ、予約困難な人気レストランなど飲食業界でも重宝されている。桃のブランドは、見事確立された。
取材・文/山本真紀 撮影/古川章
※週刊ポスト2022年9月9日号