投資

日本株の上昇機運高まる 円安で製造業は復活、インフレが追い風になる企業も

コロナ後はインバウンド復活へ

 一方、世界情勢を見渡すと、ロシアによるウクライナ侵攻が長引くなか、関心が高まる安全保障関連やインフレが追い風となる企業も見逃せない。

「これから防衛予算をGDP(国内総生産)の2%、10兆円規模にまで増やそうとしているなか、軍事産業関連の三菱重工業は当然メリットを受ける。脱炭素社会に向けた水素発電技術や、原発再開に向けた原子力発電技術も持っており、追い風でしょう。エネルギーの安定供給に欠かせない石油や天然ガスを扱うINPEX、ウクライナ問題で世界的な肥料不足もあって、肥料や農薬などを扱う石原産業も注目です」(植木氏)

 コロナ後を見据えると、外国人観光客の「インバウンド」復活など海外からのマネー流入も期待できる。

「円安で世界のディズニーランドのなかでも入場料が安いオリエンタルランドはインバウンド関連の代表銘柄。海外からの不動産投資ブームで日本の不動産業界も盛り上がっており、なかでも安定性という点では三井不動産を挙げたい」(武者氏)

 コロナ後の航空機産業の復活を見越して、植木氏が推すのが東レだ。

「ボーイング社をはじめ機体に使われる炭素繊維で世界トップシェア。同じように鉄道やインフラ関連で世界的に展開している日立製作所も業績拡大が見込めるでしょう」

 物価高と円安をうまく取り込んで企業業績が向上し、賃金アップにつながれば個人消費の盛り上がりも期待できる。

「すでに高級腕時計が売れ始めているように、さらに個人消費が上向けば、三越伊勢丹ホールディングスなどのデパートにも追い風が吹く」(植木氏)

 ここまで個別株を見てきたが、「投資は初心者で“なるべくリスクを抑えたい”という人は、投資信託が楽」だと植木氏。

「日経平均に連動する『ETF』(上場投資信託)を買っておけば、日経平均さえ上がればいいので、個々の銘柄の値動きを気にしなくて済みます」

 投資の鉄則は「安く買って高く売る」ことだ。

※週刊ポスト2022年9月16・23日号

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