「アルプスのワインディング」が社名の由来である、フランスのアルピーヌ社。ルノーのチューンナップやレーシングモデルを製造販売していた同社が、2017年に発売したのが「アルピーヌ A110」。すぐに人気を博した同車が6年ぶりにマイナーチェンジを果たした。シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」、今回は自動車ライター・佐藤篤司氏が、フランス流軽量スポーツカーを試乗して、その乗り心地をレポートする。
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1956年に設立されたアルピーヌ社は、おもにフランスのルノー社の車両をベースにチューンナップやレーシングモデルを製造販売してきました。アルピーヌの創設者、ジャン・レデレ氏は、この社名に「アルプスのワインディングに象徴されるドライビングの喜び」を込めたと語っています。
2017年3月、ジュネーブショーで世界初公開されたミッドシップのスポーツカー「アルピーヌA110」は、アルピーヌの基本コンセプトに沿った魅力的なスポーツカーであり、人気となりました。今年1月、そのアルピーヌA110が6年ぶりにマイナーチェンジされ、さらに走りを磨き上げたといいます。そのニューモデルを日本のワインディング走行の本場、箱根でじっくりと試してみました。
40年ぶりに「復活」
実はA110という車名は1963年から77年まで製造され、モータースポーツでも大活躍していたスポーツカーに与えられていました。その過去の名車の外観をモチーフにしたデザインをまとって2017年に同じ車名で登場し、業界では「アルピーヌが帰ってきた」とかなり話題になったのです。一部ファンの中には半世紀以上前に活躍していたモデルを“初代”と呼び、最新を“リボーンモデル”などと表現する人もいます。
そんな新世代A110を初めてドライビングしたとき感じたのはやはり「軽くて、コンパクト」。ドライビングの楽しさ、軽量スポーツカーのキレの良さをしっかりと感じることができました。そのときは「これで十分」とも思ったのですが、今回のマイナーチェンジによって従来の最高出力は292馬力から300馬力に、最大トルクは320Nmから340Nmへと、パフォーマンスがアップしました。数値的に見ればわずか8馬力、20Nmの向上ですが、実際に走り出してみるとさらに魅力を増していたのです。