「ゲーム感覚」の攻防
飲食店に勤務する20代男性・Bさんは、値下げ交渉は「ゲーム感覚」だという。
「フリマって、結局売り手の気分で値付けがされるわけですよね。同じ理由で、買い手にも、『これにこの金額は出せないなあ、でもほしいな』という、なんとなくの金額感がある。そのお互いの感覚をすり合わせるのが、値下げ交渉だと考えています。僕の場合、毎回値下げ交渉をするわけでないのですが、ほしい商品に対して、自分の出せる金額目標が低かったら、それを達成するために、あれこれ交渉する。ゲームでいうところの“ミッション”みたいな感じです」(Bさん)
値下げ交渉は“心理戦”の意味合いが強く、工夫する楽しみがあるという。
「他の人の値下げ交渉中に、偶然割り込んでしまったことがあります。他の人が値下げを交渉するコメントを送っているのを知らず、偶然僕がその人より少し高い価格を提示して、購入できました。1000円で交渉中のところを、僕は1100円で買いますという感じです。その時、謎の“勝った!”という達成感がありました。それ以来、値下げ交渉をしている人が他にもいたら、その人よりも少し高い金額を提示するという技を覚えました。売り手の人も、少しでも値下げ幅は少ないほうがいいでしょうからね。
もちろん、値下げ交渉が成立したら、商品は絶対買いますよ。なかには自分から値下げ交渉しておいて、それでも買わない人を見かけるのですが、そういう人にはなりたくないです」(Bさん)
値下げ交渉するうえで大切なのは「礼儀正しさ」
IT企業に勤める40代女性・Cさんは、やり取りそのものに「人間性」を感じるタイプだ。
「見知らぬ人とチャットする感覚が楽しいです。こちらの質問にしっかり返答してもらえるのも嬉しい。相手がどのように受け入れるのか、断るのかもひとつのドラマで、人間性が出ることが多いので、『いろんな人がいるなあ』と思うと、飽きません」(Cさん)
「値下げはあくまで売り手の善意で成り立っている」と話すCさん。礼儀正しさを何よりも大切にしている。
「フリマアプリを見ていると、上から目線の値下げ交渉をしている人もいますが、さすがにそれは売り手に対して失礼だと思うんです。私の場合、値下げの可否を確認後、希望価格を提示します。送料や手数料がかかることもわかっているので、値下げ分は価格の1割以下が目安。1000円くらいの安いものなら、基本的には価格交渉はしません」(Cさん)
一口に「値下げ交渉」と言っても、ユーザーにとってはそれぞれの理由や事情がある。相手に不快感を与えないように、くれぐれもマナーを守って利用してほしい。