その影響を受けた米国の大手ヘッジファンドのLTCMが経営破綻し、「LTCMショック」が世界の金融市場に不安を与えたが、その“現代版”ともいえるのがいま世界経済の不安要素とされている「ABCDショック」だ。
これは、Aがアメリカの大統領選挙、Bが英国のEU離脱、Cが中国経済失速、Dがドイツ銀行を中心とする欧州系金融機関の経営危機を指す。竜沢氏はこう指摘する。
「投資家に、『自分にも悪影響が来るぞ、来るぞ』という不安な心理が働いていた。実際の景気は良いのに、日米の金利を押し下げる要因になっている点で現在と似ています」
この「低金利」が次なる相似点だ。
【2】1997年も今年も、米国の利上げが遅れて「低金利」
世界情勢の影響は、米国の金融政策に及ぶ。当時といまでは「利上げ」を取り巻く状況も似ている。
「1997年は約2年ぶりに利上げを実施するなど、米国景気自体は良かったが、アジア通貨危機の影響でその後の利上げが遅れて、低金利状態が続いていました。いまの米国でも、昨年12月の利上げ以来、“するぞ、するぞ”と言われ続けた利上げは今年一度も行なわれておらず、歴史的な低金利が続いています」(同前)