「『野村證券投資情報部長は超強気』。そう書いていただいて構いません」──こう力強く語るのは、野村證券投資情報部のトップを務める竜沢俊彦部長だ。本誌・週刊ポスト記事(10月28日号)で、「年末に株価1万9000円、来年には2万円超えもある」と発言した株投資のプロは、依然として強気な姿勢を貫いている。
日銀から聞かれるのは正反対の声だ。日銀の黒田東彦総裁は11月1日の金融政策決定会合後、「2018年4月の任期切れまでに物価2%アップを実現し、デフレ意識を払拭する」という政策目標が達成できなくなった責任を問われると、「石油動向は予測が難しく、新興国の減速も予測し難い。何をもって責任とするかは難しい問題だ」と、弱気な発言を繰り返した。
だが野村證券は、黒田総裁と対照的に「攻め」の姿勢を“強化”している。同社は11月、通常の株式講演会に加え、「緊急株式セミナー」を随時開催し、顧客に株式投資を勧める予定だという。その自信の根拠は、「かつて見た風景」にあると竜沢氏は語る。
「現在の状況は、株が急騰を始めた1997年の状況に似ています。私も当時のことは強く印象に残っている」
竜沢氏が指摘する1997年からの数年間は、市場関係者にとって“伝説の時代”だ。バブル崩壊後のデフレ不況に苦しむなか、一部の中小型株が大幅に急騰。株価が10倍になる企業株を指す、「10倍株」が続出した。
株の世界ではこれらを、野球の塁打を意味するバガーにかけて、10倍なので「テンバガー」と呼ぶ。